また映画「麦秋」感想

小津安二郎の「麦秋」を見たのは三度目か四度目だ。またまた新しい感慨があった。
小津の作品は、ところどころに「どきっ」とするようなセリフがあって

舞台はのんびり、大して変化がないのに、人間の心理をけっこうぐさっと刺すような
ところがある、と思う。

今回は、たとえば、主人公の紀子が旧友の三人と喫茶店でおしゃべりするところ。
ふたりは既婚、紀子とその友人は独身であるが、既婚のふたりは、紀子たちに

未婚はだめよ、わからないことがたくさんあるわ、というようなことを
ともかく言って話を聞こうとしない。そのやりとりがきつい・・・。
今だったら、何だろう、ハラスメントにでもなりそうな。

もうひとつ、気がついたところは、紀子の芯の強さというか、
生半可ではないところ。

人からなんと言われても、「わたしはこうなのです」とか、
さいごに、義姉から「大変な人生になるけれど大丈夫?」などと

聞かれて、「私には自信があるの」というところ。
すごいなあ、と思う。

いちかばちかやってみる、という人はたくさんいるだろうけど、
「わたしには自信があるの」とともかく言える人っているだろうか・・・。

あと、気づいたところは、紀子が友人と秋田弁でやりとりするところが
ずいぶん長くあって、フムフム、これはきっと小津が面白がって長くしたな、と
ほほえましく思う。

小津の映画を、昔の伝統的な家族生活、女性の結婚などを描いたもの、と
言う人もいるが、なかなかどうして・・・。

一見平凡な人生に、ちょこっちょこっと覗く、闇みたいなものを垣間見せてくれる、と
思うのだが。


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# by takanak | 2017-04-24 21:54 | 感想 | Comments(0)

【詩】もてあまし

人に話をして
何も残らないというのは
むなしいものだ
これを説得というのか。
じぶんが
空っぽになっている
ふってもからからすら
音がでない
殻だけの自分。

そんなふうにならないよう、
ならないよう、と気をつけてはいるが
時として空っぽになっている

ずいぶんさみしい気持ちで
ひとはたぶん
そんなふうにならないように
だましすかし
生きているに相違ない

半分他人を取り入れて。
それに慣れて
あたたかな家庭生活というのを
送れているのかな。
あたしはまた。
しまったと。
殻の自分をもてあましている


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# by takanak | 2017-04-19 23:14 | 詩です | Comments(0)

【詩】いちばん星

うちのめされるくらいに
つかれて
新聞のコラムの
真央ちゃんを
夕空の星にたとえたのは読んだが
ちょっと違うな、とも思ったが

うちのめされたのは
じぶんだ。
夕刻のいちばん星を見ているのも
じぶんだ。

いちばん星を
地面のうえから
見ているのと
だれか 人と眺めているのと
どう、違うのだろう

そういえば
こどものころ、
画家の人と
坂を下りながら
夕暮れを眺めたのだった

あの色は、どう描くのですか、と聞いた
よくまんがのカラーページで
そんな空があったから

画家は教えてくれた
でも
じぶんでうまく描けたことはない

あんな夢の日々
夕刻のいちばん星を
まおちゃんに例えた
ずいぶん単純だと思う

それにしても
あたしは疲れて
ひったたかれたように疲れている
それでも
いちばん星
ひとりで見る
勇気はあるらしい

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# by takanak | 2017-04-12 21:45 | 詩です | Comments(0)

歌を歌うこと

詩人菅原克己氏の「ブラザー軒」は、高田渡の歌で知り、ものすごく震えるくらい好きな歌だった。
今数年ぶりにふと思いだして読んでみた。

ぞくっとする感じはあるが、当時ほど惹かれない気がする。不思議なものだ。
惹かれないことに申し訳ない感じがする。
同様に、高田渡の「トンネルの唄」も、すごく好きだった。

それをさかのぼるむかしには中島みゆきの歌がどっぷりはまるくらい好きだった。

人は変わるものだ。鈍感になっているのかな。

幼稚園ぐらいの頃、歌の絵本を両手に持って歌を歌うのが好きだった。
その絵の世界にどっぷりはまりこむのだった。

好きで一時間ぐらいずっと歌っていた。小学校に入る前だった。

このごろようやく発声法ができるようになって
ボーカルの先生からほめられた。
これでなんの歌でもはまり込むように歌えるようになるといいのだがな。

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# by takanak | 2017-04-10 22:18 | 感想 | Comments(0)

【詩】羽根布団


午前中

陽が出ていたので

羽根布団を干した

ベランダが西側なので

陰った日があたった

出かける前に

ふかふかの布団をとりこんだ

そうだ、

うちは玄関に防犯カメラを付けているので

いぜん

録画を見ていたら日がだんだん回って

ウコギの木の影が長くなり

白い西日が射して

しだいに暗くなる様子が映っていた

父がいたときには

毛糸の帽子をかぶって

そそくさとデイサービスの車に乗り込む姿が

映っていたりした

布団。

半日の陽を取り込む

顔をつけて匂いを吸い込む

一日、朝日も夕日もぐるり

取り込む家だということを

すっかり忘れていた



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# by takanak | 2017-03-06 19:24 | 詩です | Comments(0)