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【詩】 噴水 (ふたたび)

噴水


夜、銀杏の木が細く空に手を伸ばす
噴水が音もなく
光の水を噴き上げる
人々はここには気づかず
手をつないで
向こうの光の門に吸い込まれていく
わたしははずれて 
人気のない噴水の脇を歩く
噴水よ
誰にも知られず
一年中
夕刻から夜にかけて
静かなしぶきを上げつづける
この小さな公園の 噴水よ
ミレナリオの音楽も感動もここにはなく
三つばかりの丸い噴水が
静かに
静かに
ああ、噴水よ
きみは有名でなくて いいね。
人がいても いなくても
静かな光のしぶきを上げつづける
伸びるわたしの影が
光を浴びて なみだのようだ



 東京メトロの「文学館」のポスターに載りました。2008年1月から3月まで、東京メトロの地下鉄の車両にぶら下がっているとのこと。ポスターでは二、三行カットされていて、感動→歓声、「伸びる」の前に「ひっそりと」という言葉が付け加わっていました。選者の方がそのようにしたそうです。

この詩は、四年前に「ゴザンス」という文芸サイト(懐かしい・・・)に投稿したものです。
Commented by nazunakotonoha at 2008-01-13 08:58
入選おめでとうございます。深くて優しいいい詩ですね。

選者さんが手直しなさったりもするんですね。
感動→歓声 はふむふむ、と思いました。
Commented by takanak at 2008-01-13 10:49
なずなさん、有難う。送るとき選者さんが手直するかもしれませんが
いいですか、それともそのままにしてほしいですか、と聞く項目があって、いいです、と書いておいたものです。ホントに歓声、はこの言葉がぴったりするなあと思いました。でも「ひそやかに」はちょっと自分のイメージとは違うな、と思ったりしました。
まだまだ精進(?)が必要です・・・。
by takanak | 2008-01-12 22:17 | 詩です | Comments(2)

海辺の美術館の庭から


by なかすぎこう
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