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【詩】 エリザベート

エリザベートよ
庭木の影が濃い
日射しの中
わたしの眼に今や映るのは
世界の影ばかり
エリザベートよ
影を踏んでわたしは歩こう
日の光はまぶしいばかりだ
ひとは 子供たちは
はしゃぎながら何か言っている
金髪の女子学生
互いにホースで水を掛け合っている
もうわたしには
関心が無い
言葉もわからない
眼に映るは
青い影ばかり
女子学生のひとりが
わたしに話しかけた
笑っている
口を大きく開けている
それだけだ
言っていることが伝わってこない
彼女は突然 表情がこわばり
わたしから目をそらす
そんなふうで
この日盛りには
世界のどこに行っても
わたしの居所はないようだ
ゆっくりゆっくり歩を進める
色のすすけた
ナップザックを背に
どこへ行こうというのか
橋を渡り
影から影を伝って
両手で青い影を掬いながら
わたしには
どこへも
もう
行く 場所がない
by takanak | 2009-07-10 23:36 | 詩です | Trackback | Comments(0)

海辺の美術館の庭から


by なかすぎこう
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