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「定年後7年目のリアル」を読んで

ストレスがたまるとどうしても入るのが本屋だ。
昨日も駅の通路の突き当りにある小さい本屋に入って、文庫本のコーナーで見つけたのが
「定年後7年目のリアル」(勢子浩璽)草思社文庫 である。

著者の「定年後のリアル」は二年程前に読んだ。それなりに面白かった覚えがあるがいつのまにか
古本として売ってしまった・・・。

今回は帰りの電車のなかで立ったままさらさらとまず読んでみた。相変わらずそれなりに面白くて
要するに、34年間洋書輸入会社に勤めて定年を迎えた著者は、とくに何もしていないのである。本の帯に「「なにもしない」静かな生活はコシヒカリのような滋味がある」と書いてあるとおり、ボランティアとか、旅行とか、スポーツ、サークルとかに入ることもなく、朝起きると朝食を食べ、喫茶店に通い・・・という生活をしていて、「なにがわるい」という感じである。

それもいいなあと思わせる内容である。しかし。この方には家族がいるのか? 奥さんは? また、なにもしていないというが、現にこのような「定年後のリアル」本を三冊書いているのである。そのほかにも既に数冊執筆している。

喫茶店に通う時も原稿用紙持参というから、それなりの仕事はしているのである。また、このように駅の売店で売っている本なのでこの執筆で得た印税もあるのだろう。

つまり、家族のことと、執筆で結果的に稼いでいることは何も書いていないのである。それじゃあ、リアルじゃないよなぁとちょっと思う。

この作者のなによりも良いことは、読書が好きということ。洋画も好き。じぶんの中に世界を描けるのである。あちこち世界旅行しなくても、世界が描けるというのは、けっこう満足できることなのである、と思う。

たぶんこの方は長年洋書輸入会社に勤められていたから、そこで本の知識を培ったのだろう。

定年後のリアルをエンジョイしているという感じである。巷で遭遇する、キャップをかぶり、リュックをしょった猫背の男性とは全く違うのである。決して贅沢をしていないことはたしかであるが。

一人暮らしというのは、食事も自分で作らねばならないし、ひとり沈黙で過ごすのと、だれでもいい、家族またはそれに準ずる者がいるとでは天地の差があるのである。この方も、家族の登場がまったくないが、おそらく家族の存在をベースとしてこのような暮らしが成り立っているのではないかと思う。





文庫 定年後7年目のリアル (草思社文庫)

勢古 浩爾/草思社

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by takanak | 2018-09-13 11:28 | 感想 | Trackback | Comments(0)

海辺の美術館の庭から


by なかすぎこう
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