人気ブログランキング | 話題のタグを見る

詩作家・荒川洋治先生のNHK講座

5月に載せた記事を再度掲載します。詩作家・荒川洋治先生の講座です。

NHKラジオアプリ「らじるらじる」が面白い。今聞いているのは、カルチャーラジオ「文学の世界」で、講師は詩作家の荒川洋治氏。本放送は、毎週木曜午後8時30分と午前10時からだが、らじるらじるでは聞き逃し番組をかなり長い間、聞くことができる。

今週聞いたのは、海外の短編小説 スタインベック「朝めし」、マラマッドほか。これまでも有名な大作家の作品を紹介するので、一見すると「なんだ、知っている」と思いがちであるが、どっこいどうして。知らない作品もあるし、有名な作品でも、独特の切り口で、その良さを教えてくれる。

また、荒川氏の語り口が、すぐそばで友だちがしゃべっているようで、とても心地よい。「そうだね、そうなんだー」と言いたくなる。

今日「教わった」ことは、小説の読み方。自分の知らない世界の小説を読むとき、いくつもの「矢が」突き刺さる。たとえば19世紀のドイツの小説、なんてはじめっから疎い感じがする・・・。それから最初に老人の回想から始まると「老人の話なんて・・・」と思う。こうした「矢」とでも言うべきものが、読者には次から次へと突き刺さる。

いわばそれは、壁とでも言えるもので、こうした矢を次々に跳ね除けてこそ、本当の「解放」、小説を理解し、人間性の普遍性を感ずることができるようになる。それは素晴らしい体験だ・・・。

と、たとえばスタインベックの「朝めし」。これは文庫本で5ページ程度の短編だが、世界の名作だという。ある労働者一家の早朝からの朝めしの準備・・・。東の空がさあっと明けてきたころ、母親がベーコンを焼く。それから一家が仕事に出る前の食事を済ます。たわいのない会話。服を新調したよ、とか・・・。これがものすごく良いのだと荒川さんは語る。

わたしはあまり小説を読まない。わからないことが多いからだ。
でも、このように突き刺さる矢を追い払い追い払いして、すこしずつ、読んでいこうと思った。

by takanak | 2021-11-25 22:02 | 感想 | Trackback | Comments(0)

海辺の美術館の庭から


by なかすぎこう
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31