2021年 11月 25日
詩作家・荒川洋治先生のNHK講座
5月に載せた記事を再度掲載します。詩作家・荒川洋治先生の講座です。
今週聞いたのは、海外の短編小説 スタインベック「朝めし」、マラマッドほか。これまでも有名な大作家の作品を紹介するので、一見すると「なんだ、知っている」と思いがちであるが、どっこいどうして。知らない作品もあるし、有名な作品でも、独特の切り口で、その良さを教えてくれる。
また、荒川氏の語り口が、すぐそばで友だちがしゃべっているようで、とても心地よい。「そうだね、そうなんだー」と言いたくなる。
今日「教わった」ことは、小説の読み方。自分の知らない世界の小説を読むとき、いくつもの「矢が」突き刺さる。たとえば19世紀のドイツの小説、なんてはじめっから疎い感じがする・・・。それから最初に老人の回想から始まると「老人の話なんて・・・」と思う。こうした「矢」とでも言うべきものが、読者には次から次へと突き刺さる。
いわばそれは、壁とでも言えるもので、こうした矢を次々に跳ね除けてこそ、本当の「解放」、小説を理解し、人間性の普遍性を感ずることができるようになる。それは素晴らしい体験だ・・・。
と、たとえばスタインベックの「朝めし」。これは文庫本で5ページ程度の短編だが、世界の名作だという。ある労働者一家の早朝からの朝めしの準備・・・。東の空がさあっと明けてきたころ、母親がベーコンを焼く。それから一家が仕事に出る前の食事を済ます。たわいのない会話。服を新調したよ、とか・・・。これがものすごく良いのだと荒川さんは語る。
わたしはあまり小説を読まない。わからないことが多いからだ。
でも、このように突き刺さる矢を追い払い追い払いして、すこしずつ、読んでいこうと思った。
by takanak
| 2021-11-25 22:02
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